昔の家づくりはロマンチック?
皆様お元気ですか?チューリップハウスの竹田です。
木々の緑が日ごとに色を深め
クチナシの甘い香りが漂う季節となりました。
クチナシの花言葉は「喜びを運ぶ」。
他に「洗練」「優雅」などの花言葉もあり
純白の花の美しさからジューンブライドの花嫁を連想させますね。
「木舞掻き」をご存じですか?
建築の伝統技術にも、
クチナシの花言葉のように花嫁を運んでくると言われる
「木舞掻き(こまいかき)」というものがあります。
木舞とは家屋の土壁の下地のことで
細木で格子状に作り上げられます。
細木に用いられるのは主に竹や木材。
これらを細く切り、柱と柱の間に
縦に3本、横に10本ほど並べ
ワラの縄を交互に通して編んでいきます。
熟練者でも切りの良いところまで進めるのに
1~2時間かかる作業で
建物全体の壁となると
編み終わるまでには膨大な時間がかかったそうです。
土壁を塗る時期は梅雨を避けるため
その下地である木舞掻きは
ちょうど5~6月のクチナシの
花が咲く季節の仕事でした。
昔は木舞屋さんという専門職がありましたが
今では珍しい職業になってしまいました。
出会いの場でもあった
その木舞掻きがなぜ花嫁を運んでくるのかというと
木舞掻きは出会いの場でもあったからなのです。
昔は家を建てるときには近所の人が集まり
酒や炊き出しを振る舞ったものでした。
ちょうど木舞を作る段階になると
近所の人を呼んで手伝ってもらうことが通例でした。
どの家にもナタがありましたし
竹を細く割る作業は女性でもできます
お母さんたちは炊き出しに
娘さんは木舞掻きに参加していました。
家の内側と外側から編んでいくと
目と目が合ったり、手と手が触れ合ったりして
それがきっかけで恋が芽生えたことも珍しくなかったとか。
手を動かしながらだと話も弾みますから、
相手のことを知る良いきっかけになったのではないでしょうか。
なんだかロマンチックですよね。
近所の人もお誘いして家族総出で家づくり
昔はそのようにすべての土壁の下地を作っていたものですが
現在では土壁の家は少なくなりました。
そんなことを思いながら
仕事が休みの日などには家族総出で家づくりにはげむと
家族の絆も深まるのではないかと思います。
かつての木舞掻きのように
近所の人たちも参加してもらい
お祝いがてら楽しいひとときを過ごすのはいかがでしょうか。
近隣との交流がすっかり薄くなってしまった今のご時世
そんな機会は貴重です。
もしかしたら
クチナシの花が家族に喜びを運んできてくれるかもしれませんよ。